近所のお母さんは中学受験に狂ってた。
その近所の子は年下の友達。
いじめられっ子だった。学校違うのでよく分からなかったけど相当やられてたらしい。
親同士が学生時代からの友達で、よくくそぼろい我が家に遊びに来た。
ちょっと受け答えにギクシャクしたとこがあったけどとても物知りなので私とは妙にウマがあった。
時がたち、親同士の交流に子供がからまなくなったころ。たぶんわたしが中学生くらいにそのお母さんと偶然道端でであった。
「◯◯ちゃん、ちゃんと勉強してるの?勉強していい学校いかないとダメよ絶対」とかいう。
聞けば友達はタップからサピックスとかいう新しい塾にうつってカイセーを目指してるらしい。
反抗期まっさかりだったわたしは「しけたこといってんじゃねえよ。受験勉強は害悪だって新聞にもかいてんだろ。だいたいそのちゃん付けやめろや」と内心思ったが、ヤバい雰囲気を感じたので「はいがんばります」と答えて話をうちきろうとした。
「あなたのお母さんはやさしいからあなたに言えないんだろうけど、本当に頑張らないとダメなんだからね。それで一生の幸せがきまるんだから!」
とかやたらしつこかったのを覚えてる。
当時、将来の夢が黄巾賊になることだった誇り高い少年かくわいになんという俗なことをおしつけるのか。
学校もやすませて勉強させてるらしいって母があとで教えてくれた。
(いま考えれば不登校だからだと思うが母はまっすぐな人だったのでそういう想像をしなかった)
あの近所のお母さんの目つき、表情が忘れられない。
それから何十年もたったいま、鏡をみて思うんです。
「おいおまえ同じ顔してないか?」って。
勉強さぼってる娘をしかるその表情に狂気はやどしていないか?
すこし不安です。
そしてなにより、うちの娘!
当時のお父さんみたいなやさぐれた小賢しい思想に毒されてないかい?!
米大統領選なんていいから勉強しろ!
学校やすんででも勉強しろ!!!
宿題なんてやってんじゃねえ過去問やれ過去問!!!
いろいろ反面教師としたいものです。
(冗談ですよ冗談)
ちなみにその子は結局カイセーはおちて九州の名門にいった。
そこで似たような知的水準の子たちと出会い、教育ママからも解放されたことで青春を謳歌し、あまり勉強もしなくなったようだが、それでも結局名門国公立大に進学した。
古巣の塾で講師をしてると風のたよりで聞いてる。
きっと自分と同じような子達のために楽園への切符を与えたいという思いじゃないかとおもってる。