ユリウスの英語講座から長女が帰ってきた。
「すごく楽しかった!」
と息を弾ませる。
てっきりバイトのそこら辺の学生が教えるもんだと思ってたが、元バリキャリ系の育休ママっぽい人が講師だったらしい。「最初は騒いでる子もいたんだけど、みんなカリスマぶりに圧倒されてた」といって笑う。
どんな内容なのだろう。
プリントをみせてもらったが、「英語、フランス語、日本語にそれぞれ一対一で当てはまる言葉はない。英語を学ぶとは文化を学ぶこと」とか書いてあって、尊王攘夷続行中で英語ボイコット中のわたくしも膝を打つ内容だった。
「マイニチノウケンに、レジェンドおばさんによるスーパー動画があるので必ずみるように」という指示にもよろこんで従っていて、「ックックック」とか「ヴウウウ、ヴウウ」とか一生懸命発音していた。
文字にするとなんか悪の帝王みたいではあるが、実際にはかなり赤ちゃんみたいでかわいい。
なんというか楽しそう。
受験が終わってからひたすら本を読み続けてた娘だが、そろそろ飽きが来ていたのだろうか。やはり通いなれた教室で、みんなと机を並べた日々に戻れた喜びなのだろうか。
でもちょっと質が違う。
ある目的のためにやらざるを得なかった学習でしかない受験勉強と違って、純粋に知的好奇心をくすぐられるから、この余興をこんなに楽しんでいるのかもしれない。
受験勉強として英語が組み込まれるころには、こうした光景もなくなりそうではあるが、原体験として「英語は楽しかった」というものを心に刻み込むことができれば、クソみたいな英語構文とか語法のたぐいを覚えるときにも役だつだろう。
さて、
私はいままであまり子育てに関与してこなかった。
特に娘二人が小さいころはかなり激務だったので、正直こいつらがヨチヨチ歩きのときに一緒に何かしたという思い出があまりない。
大きくなってからも、子供ほっといて釣りとか山にしょっちゅう行ってたダメ父だった。仕事もすこし楽になったので、会話がない家ではなかったが、内容はくだらない話ばかり。男親として過度にベタベタするのは娘たちの将来によくないという思いもあったので、あまり学校のこととか中学年のころは塾のことにも関与しないようにしていた。
だから長女の受験にがっちり付き合ったこの一年はかなり特殊。
すごく辛かったという印象しかないが、それでいてやはり濃密だ。
もう終わったからいつもの釣りオジサンに戻りたいのに戻りきれない。
釣友たちからの誘いもなんとなく断り続けてて、「もしかして、かくちゃんの子供全部受験落ちたんじゃないか」なんて心配されてるレベル。
休みの日は、ぼけーっとしてる。
「あんたダイエットブログでも始めれば?」とか妻に煽られてる。
だから昨日、久しぶりに昔みたいに塾まで車でお迎えに行き、
英語講座の土産話を夫婦で喜んで聞く、その体験がたまらなく懐かしかった。
新たなステージに入る喜びを爆発させる子供。
過ぎ去った日々にゆっくり別れを告げることができる親。
英語講座。
意味ねえとか思ったけど、激変緩和措置ってやつなんだろうなきっと。