ある日、娘がしょげていた。
学校でいやなことがあったらしい。
麻布と小石川が第一志望の優等生サピックス男子が成績不調というのがそもそもの発端。
11月くらいから国語の成績が急降下し、なんとサピックス偏差値で38になってしまったのだという。
悪ガキ男子軍団との激闘の日々を送る娘にとって、この男の子は数少ない話せる友達らしい。成績が落ちているというボヤキはよく聞いていたそうだが、この日なんとなく固まっていた中受組の雑談で、初めて偏差値38ときいて本人を前に思わず大声を出してしまった。
「えええ!サピ偏差値38って日能研でも50いかないよ!!!」
それにカチンときたのがサピ女子軍団。
「娘ちゃん、なにいってるの?サピ偏差値で38でも日能研なら55くらいあるよ」
と猛攻撃を敢行した。
娘はグヌヌヌとなったのであろう。
このバカどもはサピに通ってるというだけで自分にマウント取ろうとしている。
最初は母集団がどうとか正規分布がどうとか聞きかじった知識を披露しようとしたがしょせん小6。うまく説明できない。
最後に思わずこう口走った。
「ならなんで日能研偏差値58の私が、サピの〇〇学校別オープンで偏差値48なの?なんで合格率40%なの!!!」
「それだめじゃん・・・」
沈黙が流れる。
しばらくして、渦中の38男子自身が「お前も大変だな」と言い、その場はお開きとなったそうだ。
「わたしなんであんなこといっちゃったんだろう。みんな『えっ?』って顔してた・・・」
どういうことをしたら恥ずかしい目にあうかは、小さいうちにたくさん経験しておいたほうがいい、さもないとお父さんみたいにおっさんになっても間抜けなことばかりするようになるから、と慰めておいた。
オワリ